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Kenichi Shimazu 嶋津健一 (p) [K (piano)]

*KENICHI SHIMAZU TRIO / THE COMPOSERS Ⅱ

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嶋津健一(p)、加藤慎一(b)、岡田佳大(ds)
2009/Roving Spirits

1 The Shadow Of Your Smile
2 The Moment I Fell Your Inside My Mind
3 Grief And Relief
4 Close Enough For Love
5 Emily
6 Young And Restless
7 Autumn
8 A Time For Love
9 Makkuroke

先週に引き続いて嶋津健一さんのアルバムです。
こちらはジョニー・マンデル作品集です。
一貫したバラード作品集で研ぎ澄まされた美しいピアノが聴けました。
(3)「GRIEF AND RELIEF」はライブでも素晴らしかった。
3者が持ち味を生かした好バランスのピアノ・トリオだと思います。
グッと抑えた演奏には適度な緊張感と刺激があります。

2枚組を買うのはつらいので1枚だけならどうか。
ミシェル・ルグランかジョニー・マンデルかということもあるでしょうね。
構成やメリハリを買うならⅠを、バラードを味わうならⅡになります。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*KENICHI SHIMAZU TRIO / THE COMPOSERS Ⅰ

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嶋津健一(p)、加藤慎一(b)、岡田佳大(ds)
2009/Roving Spirits

1 Tender Road To Heaven
2 I Will Wait For You
3 Are You Feelong Blue ? Or ?
4 You! Name It
5 The Summer Knows
6 Midnight Dance Hour
7 To Ease Your Sorrow
8 You Must Believe In Spring
9 What Are You Doing The Rest Of Your Life
10 For Your Tomorrow

評価の高いピアニストの嶋津健一さんは気になる存在でした。
今作はミシェル・ルグランにスポットを当てたもので昨年出た2枚組のCDの一枚目です。
(2枚目はジョニー・マンデル作品集)
オリジナルが6曲にミシェル・ルグランが4曲の構成です。
嶋津さんのスイング感と美しいピアノの音色はルグランの旋律にピタリとはまります。

先日、嶋津さんの参加したライブを見に行きました。
中村誠一(ts)、大森明(as)、嶋津健一(p)、沼上励(b))、横山 和明(ds)
ライブ・レポートには書きませんでしたがこのCDは嶋津さんから手渡しで入手したものです。
熱心なファンが多く聴きに来ていて嶋津さんの人気の程がうかがえました。

バラードにおけるしっとりとした美しさとアップ・テンポにおける抜群のノリの対比が聴きどころ。
そういった意味で(3)「ARE YOU FEELING BLUE ?」~(4)「YOU! NAME IT」に注目しました。
けれんみのない気持のいいピアノ・トリオが聴けます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

Keith Jarrett (p) [K (piano)]

*KEITH JARRETT & CHARLIE HADEN / JASMINE

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keith jarrett(p), charlie haden(b)
2010/ECM/

1 For All We Know
2 Where Can I Go Without You
3 No Moon At All
4 One Day I'll Fly Away
5 Intro-I'm Gonna Laufgh You Right Out Of My Life
6 Body And Soul
7 Goodbye
8 Don't Ever Leave Me

2011年の最初の愛聴盤はキース・ジャレット&チャーリーヘイデンになりました。
今作は昨年の「みんなのベスト3」に4人の方が推奨していました。
4人がダブるというのは初めてじゃないかと思います。

発売時には賛否両論が渦巻いていたような記憶があります。
それで私は躊躇した部分がありました。
キース・ジャレットのイメージをあんまり変えたくない思いがあったんです。
たしかにここでのキースには、ほのかな土の香りがしました。
キースの弟にスコット・ジャレットというカントリー&フォーク系のギタリストがいました。
キースも同じような環境と感性を持ったことは容易に想像できます。
厳しさとやさしさは表裏一体でどちらを重要視するかはその時の気分に左右されるかもしれませんね。

聴いてみると”さすが~”としか言いようがなかったです。
キースとヘイデンの醸し出す雰囲気がなんともふくよかです。
リラックスしていて気負いがなく、まったくの自然体で演奏していました。
「JASMINE」の題名を見た時に私は即「ジャスミン茶」をイメージしました。
お茶にジャスミンを混ぜてお湯を注ぐと芳香が漂いますね。
このアルバムもそんな感じでやさしく包み込むような世界が広がっています。

私的ベストは(5)「Into-I'M GONNA LAUGH YOU RIGHT OUT OF MY LIFE」で、
続く(6)「BODY AND SOUL」、珍しい(3)「NO MOON AT ALL」も良かった。
抜群のリズム感とテンポのキープ力が素晴らしい。
特筆すべきは上質なジャズミン茶のように音色もまろやかなところでしょうか。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



*KEITH JARRETT TRIO / UP FOR IT

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keith jarrett(p), gary peacock(b), jack dejohnette(ds)
2003/ECM/

2002年のフランスのジャズ・フェスティヴァルのライブ盤。
キース・ジャレット・トリオのスタンダード集は相変わらずの手際の良さが光る。
名スタンダードの「My Funny Valentine」と「Autumn Leaves」が聴けます。
特に16分にも及ぶ「Autumn Leaves」~「Up For It」は圧巻。

「If I Were A Bell」、「Butch & Butch」、「My Funny Valentine」、
「Scrapple From The Apple」、「Someday My Prince Will Come」、
「Two Degrees East, Three Degrees Wast」、「Autumn Leaves」、「Up For It」



*KEITH JARRETT TRIO / WHISPER NOT

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keith jarrett(p), gary peacock(b), jack dejohnette(ds)
2000/ECM/

CD1
1 Bouncing With Bud
2 Whisper Not
3 Groovin' High
4 Chelsea Bridge
5 Wrap Your Troubles In Dreams
6 Round Midnight
7 Sandu

CD2
1 What Is This Thing Called Love
2 Conception
3 Prelude To A Kiss
4 Hallucinations
5 All M Tomorrows
6 Poinciana
7 When I Fall In Love

キース・ジャレット・トリオのスタンダード集、パリでのライブ・2枚組です。
トリオとしての重量感というか、格が一枚も二枚も上ですね。
現在考えられる最強の組合せかも。
唸り声も健在ですがこれが余り気にならないほど素晴らしい出来だと思いました。
キースも病んで今1歩深みを増した感じです。
トリオのコンビネーションも最高です。
これじゃ、2枚を1枚にする方が無理というものです。
2枚一気に聴いてしまいました。
当然、目立つ1枚だと思いますがGDにならなかったので「ドラ流・・・」にしました。
極上のジャズ・スタンダード・アルバム、今年出たピアノ・トリオものでは出色の作品です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*KEITH JARRETT SOLO / THE MELODY AT NIGHT, WITH YOU

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keith jarrett(p)
1999/ECM/

ソロ・ピアノといえばキース・ジャレットを思い起こさせるほどキースとソロは切り離せない。
ジャズ・ソロ・ピアノの魅力をファンに知らしめたのは他ならぬキース・ジャレットです。

「I Love You Porgy」、「I Got It Bad And That Ain't Good」、「Don't Ever Leave Me」、
「Someone To Watch Over Me」、「My Wild Irish Rose」、「Blame It On My Youth」、
「Meditation」、「Something To Remember You By」、「Be My Love」、
「Shenandoah」、「I'm Through With Love」



*KEITH JARRETT TRIO / STANDARDS LIVE

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keith jarrett(p), gary peacock(b), jack dejohnette(ds)
1986/ECM/

キース・ジャレット・トリオのスタンダーズ、ライブ盤。
ライブにおける即興の素晴らしさもずば抜けている。

「Stella By Starlight」、「The Wrong Blues」、「Fallin In Love Whis Love」、
「Too Young To Go Steady」、「The Way You Look Tonight」、「The Old Country」



*KEITH JARRETT TRIO / STANDARDS, VOL.1

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keith jarrett(p), gary peacock(b), jack dejohnette(ds)
1983/ECM/

言わずと知れたキース・ジャレット・トリオのスタンダード集。
キースの奏でるスタンダードは衝撃的だった。

「Meaning Of The Blues」、「All The Things You Are」、「It Never Entered My Mind」、
「The Masquerade Is Over」、「God Bress The Child」

Keiichi Yoshida 吉田桂一 (p) [K (piano)]

*TETSUYUKI MIYA meets KEIICHI YOSHIDA TRIO / I'LL BE SEEING YOU

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宮哲之 (ts)、吉田桂一 (p)、佐々木悌二(b)、渡辺文男(ds)
2012/What's New Records /

1 I Could Have Danced All Night
2 Squatty Roo
3 Alone Together
4 Blues In The Closet
5 You've Changed
6 Prince Albert
7 Whisper Not
8 Ceora
9 I'll Be Seeing You

吉田桂一・トリオはライブ・ハウスでよく出会います。
吉田さんは「ケーイチ」の愛称で親しまれているピアニストでバド・パウエル、ウィントン・ケリー、
トミー・フラナガン系の良くスイングするピアニスト、本人はソニー・クラークが好きなのかな。
歌の伴奏の上手さでも定評があります。
まろやかでやさしい響きを持っているのでケーイチさんのピアノは女性ファンが多いです。
この吉田桂一(p)が率いる佐々木悌二(b)、渡辺文男(ds)のトリオは10周年を迎えました。
今作はその記念盤という意味合いもあるようです。
佐々木さんは安定感のあるベーシスト、文男さんはブラッシュ・ワークの名手です。

宮哲之(ts)さんは勉強不足で聴いたことがありませんでした。
関西ではよく知られたテナー奏者だそうですね。
今作の企画はベースの佐々木悌二さんで選曲構成は宮哲之さんだそうです。
スタンダードとジャズ名曲の組み合わせで興味あるラインナップだと思います。

聴いてみてグッときたのはやはりバラードでした。
(5)「YOU'VE CHANGED」は絶品、(3)「ALONE TOGETHER」も良かったです。
ややテンポを上げたタイトル曲の(9)「I'LL BE SEEING YOU」、
最近ライブでも聴くことが多い、リー・モーガンのボサノバ曲(8)「CEORA」もニクイ選曲です。
その他の曲もミディアム・テンポで実に聴き易い仕上がり・・・スーと入ってくる感じで癒されます。
宮さんのテナーは男性的で野太いトーンながらやさしく包み込むような歌い方をします。
オーソドックスでストレートで艶やか、トツトツとした演奏なんだけど心に残ります。
彼の奏法には誰にも似ていない個性を感じました。
ケーイチさんが「宮さんは素晴らしいよ」と大絶賛していたのも納得です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(くつろぎ系)




*KEIICHI YOSHIDA TRIO / I'M GONNA BE HAPPY !

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吉田桂一(p), 佐々木悌二(b), 渡辺文男(ds)
2005/What's New Records/

1 Departure
2 Strollin'
3 Autumn Road
4 From This Moment On
5 The Things We Did Last Summer
6 Paragon
7 Ease It
8 You Know I Care
9 I'm Gonna Be Happy !

愚直なまでのストレート・アヘッド・プレイへのこだわり、洗練されたアドリブ。
オリジナル、スタンダードと、どれを取っても超一流のピアノトリオ・アルバムが完成した。
(帯中よりの抜粋)



*KEIICHI YOSHIDA TRIO / MUSIC FOREVER

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吉田桂一(p), 佐々木悌二(b), 廣江靖(ds)
2002/What's New Records/

1 Don't Distueb
2 Full House
3 Angel Eyes
4 Are You Real
5 I Remember You
6 Besame Mucho
7 East Of The Sun
8 Everybody Likes Something About You
9 Music Forever

これぞハードバップ・ピアノ・トリオの真髄。
ストレートアヘッド・ジャズの実力派ピアニスト、吉田桂一待望のデビューアルバム。
(帯中よりの抜粋)

Kei Akagi ケイ・赤城 (p) [K (piano)]

*KEI AKAGI / VIEWPOINT

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kei akagi(p), yoshio suzuki(b), hiroshi murakami(ds)
2000/ONE VOICE/

1 Four-Cat Strut
2 Private Intersection
3 Tagger's Delight
4 Spring Can Really Hang You Up The Most
5 A Waiting's View
6 Giant Steps
7 Spin Cycle
8 Memories Of You
9 Side Room
10 Parisian Thoroughfare

ケイ・赤城(p)、鈴木良雄(b)、村上寛(ds)の日本人強力ピアノ・トリオの登場です。
全10曲中、6曲がケイ・赤城のオリジナルで残り4曲がスタンダードという組み合わせです。
三味一体のプレイは見事です。
日本人のピアノ・アルバムとしては第一級の作品だと思いました。
この3人は4年前からツアー活動を行っているそうですが今年の7月からも全国ツアーが予定されています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

Kazuko Baba 馬場和子 (p) [K (piano)]

*KAZUKO BABA TRIO / AI

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kazuko baba(p), yosuke inoue(b), taro koyama(ds)
2002/Playscape/

1 Sacrifice
2 Destiny Of Two
3 Last Date
4 Bitter Sweet
5 See You In The Dream
6 Not Here
7 You Should Tell Me
8 All The Way

馬場和子(p)、井上陽介(b)、小山太郎(ds)のトリオ。
自身のオリジナルが中心でスタンダードは(8)の1曲のみ。
切れ味鋭い、スインギーなプレイで迫る。

Kasper Villaume (p) [K (piano)]

*KASPER VILLAUME TRIO / FOOTPRINTS

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kasper villaume(p), jesper bodilsen(b), rasmus kihlberg(ds)
2006/MARSHMALLOW EXPORT/

1 Mr.PC
2 Nice Work If You Can Get It
3 Night Train
4 Trubbel
5 Is That So
6 Place St.Henry
7 Theme From Mash
8 All Of You
9 You Don't Know What Love Is
10 Footprints
11 The Folks Who Live On The Hill

このキャスパー・ヴィヨーム(p)の新譜も中々に出来が良いです。
曲目もバラエティに富んでいてヴィヨームの実力を試すにはもってこいの選曲になっています。
彼は↓の2004年の「117 DITMAS AVENUE」、2005年の「HANDS」で一皮も二皮もむけました。
元々が才能豊かでスケールの大きさを感じさせるピアニストでしたが、ここのところの進化は物凄いです。
まさに急激な変貌を遂げていて、この人には思った以上の大物感を感じました。
是非、このまま順調に伸びていって欲しいヨーロッパ・ピアノ界の新星です。
同時に見逃せないのが強力、強靭なイェスパー・ボディルセン(b)の存在です。
このプレイヤーもまたヨーロッパの時代を担うベーシストになると思っています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*KASPER VILLAUME QUARTET / HANDS

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kasper villaume(p), chris minh doky(b), ali jackson(ds)
chris potter(ts)
2005/STUNT RECORDS/

1 Green Chimneys
2 Captain Kirkland
3 Cloudy & Blue
4 Gone
5 Hands
6 The Sniper
7 Meaning Of The Blues
8 Groove Street

キャスパー・ビヨーム(p)のこの新譜を聴いた時、「ついに来たか」という感じがしました。
待ちに待った瞬間というか、未完の大器、キャスパー・ビヨームの真髄が聴けます。
ボブ・ロックウェル(ts)との共演を聴いて以来注目していたピアニストです。
最初は一癖あるクリス・ポッター(ts)との共演はどうかなと思ったのですが、
そんな心配はあっという間にすぐにどこかに吹っ飛んでしまいました。
パワフルでエネルギッシュ、強烈なドライブ感とスイング感、文句なしのテクニック、恐るべしビヨーム。
スケールの大きさを感じさせ、真にミシェル・ペトルチアーニ(p)の後継者に成り得るヨーロッパ・ピアノの逸材です。
私はクリス・ポッターのファンでけっこうアルバムも持っている方ですが、ポッターもベスト・プレイで迫ります。
クリス・ミン・ドーキー(b)とアリ・ジャクソン(ds)のコンビも強力なリズムを押し出してきていいですよ。
まずは1曲目、ユニークな曲調を持つモンクの「GREEN CHIMNEYS」でガツンときました。
あとは最終曲まで一気に聴かせてくれます、時間が短く感じたのも久し振りです。
直球勝負の王道を行くモダン・ジャズ・カルテットで今年のベスト3候補の1枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*KASPER VILLAUME TRIO / 117 DITMAS AVENUE

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kasper villaume(p), jesper bodilsen(b), jeff "tain" watts(ds)
2004/STUNT RECORDS/

1 Please Enter-Train
2 Dansevise
3 Seven Steps To Heaven
4 Autumn Nocturne
5 Conception
6 Toys
7 Caravan
8 I Fall In Love To Easily
9 Long Ago And Far Away

キャスパー・ヴィヨーム(p)はピーターソン・トリオでお馴染みの故エド・シグペン(ds)に見出されたようです。
私が最初に聴いたのはボブ・ロックウェル(ts)のライブ盤の「ONE AFTERNOON AT JAZZ CUP」でした。
その後にマシュマロ・レーベルから自己の2枚目のリーダー・アルバムの「ESTATE」で注目されています。
この時のドラムスはモーティン・ルンドでヨーロッパの色が濃いピアノ・トリオでした。
今作ではジェフ”テイン”ワッツ(ds)を起用して従来とはひと味違うドライブ感とスピード感を演出しています。
ワッツの繰り出すリズムが実に効果的にヴィヨームのピアノをプッシュ・アップしています。
ヨーロッパとアメリカのコラボレーションでちょうど良い按配になりました。
(1)のドライブ感、(6)の心地良いスイング感、(9)のフォーバースなどが聴きどころでしょうか。
組み合わせの妙によってヴィヨームの新たな一面を引き出したピアノ・トリオの好盤です。
なお、プロデューサーはベーシストのクリス・ミン・ドーキーです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*KASPER VILLAUME TRIO / ESTATE

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kasper villaume(p), jesper bodilsen(b), morten lund(ds)
2002/M&I/

ちょっと前にボブ・ロックウェル(ts)の「ONE AFTERNOON AT JAZZ CUP」という作品を紹介しました。
そのバックでピアノを弾いていた人がこの人、キャスパー・ヴィヨームと読むそうです。
デンマーク出身の28歳、もうすでに注目のピアニストだとは知りませんでした。
今作品は2枚目のリーダー・アルバムで初のピアノ・トリオものです。
演奏の方は上品ですよ。やさしくてやわらかいまろやかなタッチを持っています。
ちょうどヤン・ラングレン的と言えば良いでしょうか。
ラングレンに続いてヴィヨームはこれからの活躍が期待できる北欧ジャズ・ピアニストだと思います。

「You And The Night And The Music」、「Estate」、「Blame It On My Youth」、
「Our Love Is Here To Stay」、「It's All Right With Me」、「I Fall In Love Too Easily」、
「You Must Believe In Spring」、「My Man Is Gone Now」

(中間系)

Karel Boehlee (p) [K (piano)]

*KAREL BOEHLEE TRIO / AT THE BEAUFORTHUIS

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karel boehlee(p), hein van de geyn(b), hans van oosterhout(ds)
2007/CHALLENGE RECORDS/

1 Yuka
2 Passage Of Jaco
3 Below The Surface
4 Goobye Cerbaia
5 Poggi Bonzi
6 Twilight
7 eternal Moonlight
8 Mystery Of Reason
9 Get Your Frinch Back
10 End Of An Illusion
11 In My Dreams

元ヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニスト、カレル・ボエリーの新譜です。
なぜ退団したのか定かではありませんが、もっとやりたいことがいっぱいあったと思っています。
日本で絶大な人気を誇るE・J・Tでは企画や演奏内容がかなり限定されてきますからね。
メンバーは以前「ドラ流・・・」にもした「DEAR OLD STOCKHOLM」(M&I/2004)と同じです。
ただし、今回は全て彼のオリジナルで占められていて、これは初めての試みかもしれません。
トリオのバランスは抜群、深いリリシズムと美しい旋律、彼の求めるサウンドにまた一歩近づいたか。
惜しむらくは曲想がどれも同じようなので起伏や変化に欠けるところがあります。
成熟したピアノ・トリオ作品ではありますがこのシリアスな調子を聴き続けるのは少々辛いです。
クラシックも聴くジャズ・ファンなら評価は高いと思われます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*KAREL BOEHLEE TRIO / BLUE PRELUDE

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karel boehlee(p), hein degeyn(b), hans van dosterhout(ds)
2006/M&I/

カレル・ボエリー(p)がヨーロピアン・ジャズ・トリオを去ってからだいぶ月日が経ちました。
あれから色々なジャズ・メンと共演してその音楽性と技量を高めてきました。
たしかにあのままE・J・Tだけに埋もれさせるには惜しい人材だと思います。
ここでも狙いは日本人ジャズ・ピアノ・トリオ・ファン向けのソフトな味付けにはなっています。
でも、随所にキラリと光るフレーズが出てきたりして彼の才能の豊かさを感じることが出来ます。
ヨーロッパの伝統的な叙情感溢れる作品ですが、”山椒は小粒でもピリリと辛い”という印象です。

[ Swing Journal : ゴールド・ディスク ]

(中間系)



*KAREL BOEHLEE TRIO / DEAR OLD STOCKHOLM

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karel boehlee(p), hein van degeyn(b), hans van oosterhout(ds)
2004/M&I/

1 Yoe
2 Dear Old Stockholm
3 You And The Night And The Music
4 Don't Explain
5 Poggy Bonzi
6 The Silence
7 On Green Dolphin Street
8 Goodbye Cerbaia
9 Mr.T
10 Gentle Brain
11 Pavanne

元ヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニスト、カレル・ボエリーの新譜です。
なぜ退団したのか定かではありませんがもう少しシリアスなものを演奏したかったのかもしれませんね。
甘さを残しながらも表現力を深める、彼が狙ったピアノ・トリオの一つの形がここにあります。
ヨーロピアン・ジャズ・トリオとは一味違っていて、これもまた居心地がとてもいいんです。
ちょうど良い按配というか、心地良く耳に馴染んできて上品な癒し系ピアノ・トリオの作品に仕上がっています。
オリジナルとスタンダードのバランスも良く案外と掘り出し物の一枚になりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



* KAREL BOEHLEE TRIO / ROMEO AND JULIET

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karel boehlee(p), hein van degeyn(b), hans van oosterhout(ds)
2003/M&I/

1 A Time For Us
2 Autumn Leaves
3 You Must Believe In Spring
4 Hymne A L'amour
5 Little Princess
6 My Funny Valentine
7 Ne Me Quitte Pas
8 Strike Again
9 Rosa Turbinata
10 Les Parapluies De Cherbourg
11 Summer Knows
12 Trust Me

カレル・ボエリーはヨーロピアン・ジャズ・トリオ以来好きなピアニストの一人です。
ボエリーは1960年生まれ、オランダ出身です。
ボエリーのピアノは美しく高貴な香りがする・・・一音一音が心に響き沁みてきます。
どこにも妥協も遊びもないと言ったら分かり易いかもしれません。

全12曲はフランス音楽が中心でミシェル・ルグランが3曲、表題曲や枯葉も入っています。
ボエリー自身のオリジナルは1曲だけ特筆すべきは最後にハービー・ハンコック(p)があることです。
つまりボエリーもハンコック的なピアノに注目していたということなります。
その演奏は唯一のオリジナルの(5)「Little Princess」とハンコックの(12)「Trust Me」で聴けました。
このように収録曲からその時点の演奏者の心境を探るのもジャズ聴きの面白いところです。
当然ながら、当たるも八卦当たらずも八卦になりますが・・・。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

Kanji Ohta 太田寛二 (p) [K (piano)]

*KANJI OHTA TRIO / IF YOU COULD SEE ME NOW

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太田寛二(p), earl may(b), jimmy lavelace(ds)
霧生ナブ子(vo)(3)
2002/What's New Records/

1 If You Could See Me Now
2 No Name Blues
3 Yesterdays
4 Choose Now
5 All The Things You Are
6 Tenperance
7 Out Of Nowhere

バップ・ピアニストとして根強い人気を持つ太田寛二さんのアルバムです。
これが20数年ぶりのリーダー・アルバムということになりました。
それも共演者がアール・メイ(b)とジミー・ラブレイス(ds)とは渋いトリオになったものです。
太田さんはバド・パウエルやバリー・ハリス、またウィントン・ケリーに近いスタイルを持っています。
以前、話を聞いた時に、ジャズ・ピアノは独学だそうでこれにはちょっと驚いてしまいました。
タッド・ダメロンの名曲(1)「IF YOU COULD SEE ME NOW」は太田さんの愛奏曲でジーンときます。
(2)「NO NAME BLUES」は軽快で楽しい演奏。
(5)「ALL THE THINGS YOU ARE」や(7)「OUT OF NOWHERE」の超スタンダードも聴きどころです。
霧生ナブ子(vo)さんが(3)「YESTERDAYS」で共演しています。

(くつろぎ系)

Kalman Olah (p) [K (piano)]

*KALMAN OLAH TRIO / ALWAYS

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kalman olah(p), ron mcclure(b), jack dejohnette(ds)
2007/MERLESS RECORDS/

1 Always
2 Polymodal Blues
3 Hungarian Sketch No.1
4 All Of You
5 How My Heart Sings
6 Introduction
7 Stella By Starlight
8 Elegy

リーダーが初見の場合、共演者から探るという方法もありますね。
それがロン・マクルーア(b)にジャック・デジョネット(ds)の超重量級とくれば申し分ありません。
多くの人がちょっと聴いてみたいと思うのではないでしょうか。
それもモンク・コンペテイションの優勝者ともなるといやが上にも期待は膨らんでしまいます。
さて、そのカルマン・オラーはハンガリー出身の典型的なヨーロッパ・スタイルのピアニストです。
しかし、今作はいま一つ食い足りない面が残りました。
期待が大きかった分だけまだちょっと硬いかなあーという部分があります。
無難な展開ではなくもっとグイグイと突っ走って欲しかったと思います。
そう考えるとバックの二人がちょっと重たかったのかもしれませんね。
今度は自己のトリオでもう一度聴いてみたい気がしています。
(7)「STELLA BY STARLIGHT」の(6)「INTRODUCTION」はソロ・ピアノで演奏されます。
これを聴くと只者ではないなという印象を持ちました。
大物感の雰囲気は漂っているのでこれから大きく飛躍する可能性を秘めていると思います。
ちなみにモンク・コンペで演奏した曲は「ALWAYS」だそうです。
カルマン・オラーの名前は忘れないようにしましょう。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

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