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Tim Hegarty (ts) [T (sax)]

*TIM HEGARTY QUARTET & QUINTET / TRIBUTE

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tim hegarty(ts,ss), mark sherman(vib)(2,3,4,5,6),
kenny barron(p), rufus reid(b), carl allen(ds)
2014/Miles High/

ティム・へガーティは初見、バックのメンバーを見て手が伸びました。
犬も歩けば棒に当る・・・結果は大当たりです。
ティムは独特の歌い方をするテナー奏者でクセになる味がします。
トツトツとして引っ掛かる感じが気になるんだけど、それがたまらなく魅力です。
コブシの効いた演歌的ジャズというか、近年こういうテナー奏者は珍しいと思います。
(1)「A New Blue」や(7)「Low Profile」ではその魅力が全開です。

今作は敬愛するテナー奏者のトリビュート盤になっています。
ジミー・ヒース、フランク・フォスター、ジョージ・コールマン、ジョー・ヘンダーソン、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、チャーリー・パーカー、デクスター・ゴードン、ベン・ウェブスター、マイケル・ブレッカーの名前が上がっています。
特にジミー・ヒースを尊敬していて多くの教えと示唆を受けたようです。
そのヒースを4曲取り上げ、その他の作品も郷愁を感じるビ・バップの濃い味がします。
選曲、構成も良くて楽しめました。

バラード・プレイも聴きどころで(4)「Ineffable」で落とされました。
自作のバラードでは(6)「Not To Worry」ではソプラノ・サックスが聴けます。
モンクの(9)「Pannonica」やヘンダーソンの(10)「Inner Urge」も心憎い演出です。

プロデュースは本人とここでも共演しているヴァイブ奏者のマーク・シャーマン。
共演のケニー・バロン、ルーファス・リード、カール・アレンは彼の人選だそうです。
ソツがないというか、バッチリと決まった・・・さすがに素晴らしい人選だと思います。
特にルーハス・リードが良い・・・レイ・ブラウン張りのベース・プレイに注目です。
掘り出し物の1枚になりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

Tetsuyuki Miya 宮哲之 (ts) [T (sax)]

*TETSUYUKI MIYA meets KEIICHI YOSHIDA TRIO / I'LL BE SEEING YOU

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宮哲之(ts)、吉田桂一(p)、佐々木悌二(b)、渡辺文男(ds)
2012/What's New Records /

1 I Could Have Danced All Night
2 Squatty Roo
3 Alone Together
4 Blues In The Closet
5 You've Changed
6 Prince Albert
7 Whisper Not
8 Ceora
9 I'll Be Seeing You

吉田桂一・トリオはライブ・ハウスでよく出会います。
吉田さんは「ケーイチ」の愛称で親しまれているピアニストでバド・パウエル、ウィントン・ケリー、トミー・フラナガン系の良くスイングするピアニスト、本人はソニー・クラークが好きなのかな。
歌の伴奏の上手さでも定評があります。
まろやかでやさしい響きを持っているのでケーイチさんのピアノは女性ファンが多いです。
この吉田桂一(p)が率いる佐々木悌二(b)、渡辺文男(ds)のトリオは10周年を迎えました。
今作はその記念盤という意味合いもあるようです。
佐々木さんは安定感のあるベーシスト、文男さんはブラッシュ・ワークの名手です。

宮哲之(ts)さんは勉強不足で聴いたことがありませんでした。
関西ではよく知られたテナー奏者だそうですね。
今作の企画はベースの佐々木悌二さんで選曲構成は宮哲之さんだそうです。
スタンダードとジャズ名曲の組み合わせで興味あるラインナップだと思います。

聴いてみてグッときたのはやはりバラードでした。
(5)「YOU'VE CHANGED」は絶品、(3)「ALONE TOGETHER」も良かったです。
ややテンポを上げたタイトル曲の(9)「I'LL BE SEEING YOU」、最近ライブでも聴くことが多い、リー・モーガンのボサノバ曲(8)「CEORA」もニクイ選曲です。
その他の曲もミディアム・テンポで実に聴き易い仕上がり・・・スーと入ってくる感じで癒されます。
宮さんのテナーは男性的で野太いトーンながらやさしく包み込むような歌い方をします。
オーソドックスでストレートで艶やか、トツトツとした演奏なんだけど心に残ります。
彼の奏法には誰にも似ていない個性を感じました。
ケーイチさんが「宮さんは素晴らしいよ」と大絶賛していたのも納得です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

Tetsuro Kawashima 川嶋哲郎 (ts) [T (sax)]

*TETSURO KAWASHIMA TRIO / TRUE EYES

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tetsuro kawashima(ts,ss), eddie gomez(b), billy hart(ds)
2003/EWE RECORDS/

1 Byaku-Ya
2 Larme
3 To-Jim- Bo
4 True Eyes
5 Seven
6 In Other World
7 My Soul
8 Sphinx
9 見上げてごらん夜の星を

情念のサックス奏者、川嶋哲郎さんの新作はピアノレスのトリオです。
最近はソロやデュオと意欲的に活動していて、益々力を付けていると思います。
自分の信じるままに「我が道を行く」という感じでしょうか。
ここでもエディ・ゴメス(b)とビリー・ハート(ds)を従えて堂々としたプレイを披露しています。
この両ベテランと五分に渡り合って吹き切っているのが素晴らしい。
全9曲は1曲を除いて自身のオリジナル、良い曲が多いので作曲能力にも優れています。
あとの1曲は良く知られた名曲「見上げてごらん夜の星を」ですがこれもまた聴きものです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



*TETSURO KAWASHIMA TRIO / YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS

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tetsuro kawashima(ts), yoshiaki okayasu(g), shin kaminura(b)
2001/EWE REC/

1 You Don't Know What Love Is
2 Poor Butterfly
3 It Might As Well Be Spring
4 I Didn't Know What Time It Was
5 Angel Eyes
6 My Ideal
7 Hush-By
8 Chelsea Bridge
9 Four Point Two-Blues

現在、日本の人気ナンバー・ワン・テナー奏者の川嶋哲郎さんの新作はスタンダード・バラード集です。
テナー、ギター、ベースという珍しいトリオで演奏されています。
デビュー時から追いかけているプレイヤーですがなお成長途上にあると思っています。
ギターの岡安芳明さんも美しい音色の持ち主で注目しています。この組み合わせは大成功でしょう。
7曲目の「ハッシャ・バイ」は、テンポといい、バランスといい、お気に入りの演奏になりました。
日本のジャズはどうも、という方にも是非聴いて頂きたい一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*TETSURO KAWASHIMA QUARTET / EMOTION

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tetsuro kawashima(ts,ss)
akira ishii(p), daiki yasukagawa(b), makoto rikitake(ds)
2001/EWE REC/

1 Lamentation
2 Emotion
3 Gift From Angel
4 In Other World
5 Free & Easy
6 Cradle Song
7 In Sorrow & In Joy
8 Chase
9 Konomichi

今が旬の川嶋哲朗さんの新作です。
日本人プレイヤーとしては最も注目しています。
これほど短期間に急成長をしているプレイヤーも珍しいですね。
2000年度テナー・サックス部門の人気投票のトップも当然だと思っています。
真摯にジャズに取り組んでいる姿勢を高く評価しています。
売れるジャズも可能でしょうが惑わされずに自分の音楽を追求している感じです。
1曲目のバラードもいいですが、表題曲における後半の盛り上がりはまさに圧巻です。
バックのメンバーとのバランスも良く、日本人ジャズ・コンボの最高峰が聴けます。
聴かせるジャズですので少々重いのは覚悟して下さいね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



*TETSURO KAWASHIMA QUARTET / MY SOUL

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tetsuro kawashima(ts,ss)
akira ishii(p), daiki yasukagawa(b), makoto rikitake(ds)
2000/EWE/

1 My Soul in the flesh
2 Lioness Dance
3 Ezan
4 To-Jim-Bo
5 Loco
6 Leo
7 Moorea
8 Bora Bora
9 My Soul second birth

作年2月に初リーダー作を発表して以来、急激に変貌を遂げている川嶋哲郎さんの新作です。
クラブ・トコを始め、1年余りでこれほど成長したプレイヤーも珍しいです。
今も現在進行形で驚くほどのスピードで変化していると思われますので、目が離せません。
彼は真面目ですよ、ジャズに対する真摯な態度が、その演奏内容から感じられます。
性質上、どうしても重くなりますが、聴かせるジャズマンが少なくなっている現在、貴重な存在です。
願わくば今一つ、音にパワー、力強さが加わればなぁ・・・・・。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



*TETSURO KAWASHIMA & CLUB TOKO QUARTET / DO IT

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川嶋哲郎(ts)  
石井彰(p), 安カ川大樹(b), 力武誠(ds)
1999/EWE/

1 Do It !
2 Love Slave
3 Tiki
4 Alteration
5 Lucifer
6 Joy
7 A Certain Episode
8 Tears
9 When I Fall In Love

日野元彦さんへのトリビュート・アルバムでリーダーは川嶋哲郎さんです。
川嶋哲郎さんは私が注目している日本人プレイヤーだけれど将来性を感じさせるに十分な内容です。
私は彼のやわらかいテナーの音色が好きだなあ。
力武誠(ds)さんは日野元彦さんの愛弟子でこれが初レコーディングだそうです。
真面目な作品と言うのも変な言い方ですがね、中々に力が入るアルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



*TETSURO KAWASHIMA / ETERNAL AFFECTION

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tetsuro kawashima(ts),
kenny barron(p), ru fus reid(b), akira tana(ds)
1999/King Records/

1 Sphinx
2 It's Easy To Remember
3 Sonnymoon For Two
4 Byaku-Ya
5 Eternal Affection
6 Musashino
7 Autumn Leaves
8 Israel
9 Tetiaroa
10 Violets For Your Furs

日本が誇る世界の大器、川島哲郎のデビュー作。
コルトレーン、ロリンズの登場から半世紀ー遂に日本からテナーの怪物があらわれた!!
(帯中よりの抜粋)

川島哲郎さんのデビュー作です。
全10曲はオリジナル5曲とスタンダード5曲の構成。
バックはケニー・バロン・トリオでガッチリと決まっています。




Teodross Avery (ts) [T (sax)]

*TEODROSS AVERY / MY GENERATION

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teodross avery(ts,ss),
john scofield(g), mark whitfield(g), peter bernstein(g),
charles craig(p), rodney whitaker(b), greg hutchinson(ds), etc
1995/GRP/

新世代進行ジャズ。
やはり時代は、テオを待っていた。
ヒップホップ、レゲエにも取り組んだテオ渾身の力作。
ゲストにジョン・スコフィールド、マーク・ホィットフィールド、ピーター・バーンステインのギター陣参加。
(帯中よりの抜粋)



*TEODROSS AVERY QUARTET / IN OTHER WORDS

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teodross avery(ts,ss),
charles craig(p), reuben rogers(b), mark simmons(ds),
roy hargrove(tp,fhn)
1994/GRP/

Teddy Edwards (ts) [T (sax)]

*TEDDY EDWARDS QUARTET / SMOOTH SAILING

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teddy edwards(ts)  
richard wyands(p), ray drummond(b), chip white(ds)
2003/HIGH NOTE/

「今週のジャケット」にテディ・エドワーズ(ts)を取り上げようと思っていたら、
ちょうど良いタイミングで彼の新作が届いてきました。
未だに現役だったんですね。年輪を重ねても元気な演奏を聴かせてくれています。
しかし、ここで素晴らしいのはバックのピアノ・トリオです。
ともすれば甘さに流され易いのをビシッと締めています。
このメンバーのリチャード・ワイアンズ・トリオも聴きたくなってなってしまいました。

(中間系)

「Indian Summer」、「Polka Dots And Moonbeams」



* TEDDY EDWARDS QUARTET & QUINTET / LADIES MAN

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teddy edwards(ts), eddie allen(tp)(1,5,7,8),
ronnie mathews(p), chip jackson(b), chip white(ds)
2001/HighNote/

1 Jeannine (D.Pearson)
2 Rosetta (E.Hines)
3 Ruby (M.Parish)
4 Candy (M.David)
5 Saskia (T.Edwards)
6 Diane (L.Pollack)
7 Donna Lee (C.Parker)
8 Marie (I.Berlin)
9 Laura (J.Mercer)
10 Rosalie (C.Poter)

テディ・エドワーズ(ts)の懐かしい名前を見たので手が伸びました。
テディ・エドワーズはウエスト・コースト・ジャズ・シーンのテナー奏者としては知名度が高いと思います。
ハワード・マギー(tp)との「Together Again」(1961)の名盤があります。
バックのトリオがフィニアス・ニューボーン(p)、レイ・ブラウン(b)、エド・シグペン(ds)という垂涎もののメンバーです。

さて今作の全10曲は「女性の名前」にちなんだものです。
作曲者が当時の恋人に贈ったものでしょうね。
当然ながらやさしくて美しいメロディ・ラインを持った曲が多いです。
この手の企画はいかにもという安易な感じがするけど意外に「ありそうでない」ような気がします。
けっこう面白かったです。
テディの音色はソフトで明るくあっさりタイプ・・・くどくないのでこういう曲想にはピッタリだと思いました。
恋愛にしつこいのは嫌われる・・・多分・・・。

デューク・ピアソンの(1)「Jeannine」は2管のユニゾンと絡みがカッコイイ、さすがにピアソンです。
最も有名なのは(4)「Candy」になるかな、ちなみにテディの恋人名は「Saskia」なんだね。
チャーリー・パーカー(as)の(7)「Donna Lee」はマイルス・ディビス(tp)が俺の曲だと言ってます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



* TEDDY EDWARDS & HOUSTON PERSON QUINTET / CLOSEENCOUNTERS

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teddy edwards(ts), houston person(ts),
stan hope(p), ray drummond(b), kenny washington(ds)
1999/HighNote/

1 Twisted
2 Blue And Sentimental
3 Pennies From Heaven
4 Night Train
5 I Don't Stand A Ghost Of A Chance
6 The Breeze And I
7 Little Girl Blue

テディ・エドワーズとヒューストン・パーソンのベテラン・テナー・マン共演の作品です。
テディ・エドワーズは西海岸を中心に活躍していました。
一時期クリフォード・ブラウン(tp)&マックス・ローチ(ds)の名コンボに在籍したこともあります。
1924年生まれ2003年に78歳で亡くなっています。
テディの音色はソフトで明るくあっさりタイプです。
ヒューストン・パーソンは1934年生まれなのでテディより10歳若いです。
こちらは84歳で未だ現役なのでジャズ怪物の一人になりますね。
パーソンは本来ソウル色が強かったですがソフトなムード路線に転換して成功しました。
現在はHighNoteレーベルの看板テナー奏者でプロデューサーも兼任しています。

そんな二人のテナー・プレイが満喫できるアルバムで徳用盤です。
特に(7)「Little Girl Blue」が聴きどころで、二人のバラード奏法を聴いて欲しい。
(3)「Pennies From Heaven」の絶妙なノリにも注目しました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

Ted Nash (ts) [T (sax)]

* TED NASH TRIO / SOMEWHERE ELSE

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ted nash(ts,cl), steve cardenas(g), ben allison(b)
2019/Plastic Sax Records/

1 Jet Song
2 A Boy Like That
3 Maria
4 One Hand, One Heartk
5 Tonight
6 America
7 I Have A Love
8 Something's Coming
9 Cool
10 Somewhere
11 Somewhere (Reprise)

西海岸出身のテナー・サックス奏者テッド・ナッシュのリーダー作を買ったのは2枚目になります。
テッド・ナッシュは1960年生まれの59歳、ロサンゼルス出身です。
あまり目立ってはいませんが輝かしいキャリアの持ち主です。
元々が色んなビック・バンドで活躍したプレイヤーでその音楽性は多彩で一筋縄ではいきません。
ヘンリー・マンシーニ、レス・ブラウン、クインシー・ジョーンズ、ルイ・ベルソン、ドン・エリス、ジェリー・マリガン、メル・ルイス、ウィントン・マルサリス、リンカーン・センター・ジャズ・オーケストラ等々、
まぁ、びっくりするほどの著名なビック・バンドに名を連ねていました。

今作が目に留まったのはもちろん「ウエストサイド・ストーリー作品集」だったことです。
若い頃に見た「ウエストサイド物語」にはすごい思い入れがあって多分回数も今までで一番見ている。
「世の中にこんなカッコいいダンスがあるのか」と心底感動したのを今でもよく覚えています。
ジョージ・チャキリスとリタ・モレノの挿入歌「アメリカ」でのダンスは今でも一番いいと思っている。
ナタリー・ウッドは可愛かったし、ちょっとぼんやりした感じのリチャード・ベイマーも良かったなぁ~。

今作はまたサックス、ギター、ベースの珍しいトリオとお洒落なジャケットにも惹かれました。
狙いは「ジミー・ジェフリー・スリー」ということでなるほどと思いました。
「ジミー・ジェフリー・スリー」はジェフリー(cl,ts.bs)とジム・ホール(g)、ラルフ・ペナ(b)の組み合わせ。
ナッシュは注目のギタリストのスティーヴ・カーデナスを迎えてベン・アリソン(b)とのトリオです。

「ウエストサイド物語」はレナード・バーンスタインの作曲で曲の良さは折り紙付きです。
曲は全てを凌駕する・・・曲が良ければ演奏も必然的に良くなります。
ちなみに「ウエストサイド物語」は色んなジャズメンがジャズ作品を出しています。
有名なのはオスカー・ピーターソン盤とスタン・ケントン盤になるかな。
偶然ながら両者共に映画から一画面を切り取ったジャケットになっています。

今作はどちらかと言えばマイナーな「ジェット団の歌」を最初に持ってくるとはナッシュのこだわりを感じます。
(3)「マリア」では達者なクラリネットを聴かせてくれました。
(5)「Tonight」は軽快なスピード感に溢れ、意表を突かれるアレンジにも注目です。
表題曲の(10)(11)「Somewhere」といい全体的に完成度の高い大人の演奏を味わうことが出来ます。
夜中にひっそりとBGMで流したら最高のひと時になると思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*TED NASH QUARTET / THE MANCINI PROJECT

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ted nash(ts,as,ss,afl,piccolo)
frank kimbrough(p), rufus reid(b), matt wilson(ds)
2008/Palmetto/

先週お話したようにテッド・ナッシュ(sax)を聴いてみましたが予想通りに面白かったです。
テッド・ナッシュはルイ・ベルソン(ds)やウィントン・マルサリス(tp)のビック・バンドにいたようです。
そういうことであまり聴く機会がなかったですが隠れた才人というところでしょうか
今作はヘンリー・マンシーニ作品集ですが渋い選曲になっています。
ヘンリーマンシーニといえばロマンチックな映画音楽ですね。
しかし有名スタンダードの「ムーン・リバー」とか「酒とバラの日々」とかはやっていないのがミソ。
「シャレード」や「ひまわり」もありません。
原曲の持つイメージとはまったく違う展開に驚かされました。
自己のスタイルを貫き通してのジャズをやっていて新鮮さを感じるアルバムです。

メンバー的にも興味がありました。
フランク・キンブローも一筋縄ではいかないピアニストでこれまた個性の強いピアニストです。
根っこはビル・エバンス(p)ですがポール・ブレイ(p)いったところも見えます。
さらにここでは比較的地味なベーシストかなと思っていたルーファス・リードの存在感が光ります。
まろやかでよく伸びるベース音が心地よいです。
そういえば最近、ルーファスの再評価につながる場面によく出くわしていますよ。
ドラムスのマット・ウィルソンを含めて渋い選択だと思いました。

ベスト・プレイは(2)「DREAMSVILLE」で、これまたまったく意表を突かれた展開になっています。
ムードもロマンチックもありません。
ピアノレス・トリオで演奏される前半と後半のピアノ・トリオのコントラストが光る1曲です。
(6)「ティファニーで朝食を」におけるルーファスのプレイも聴きどころ。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

Ted Brown (ts) [T (sax)]

*TED BROWN & BRAD LINDE SEXTET / TWO OF A KIND

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ted brown(ts), brad linde(ts),
michael kramer(g), dan roberts(p), tom baldwin(b), tony martucci(ds)
2012/Bleebop Records/

1 Smog Eyes (T.Brown)
2 Slippin' And Slidin' (T.Brown)
3 Opus #42, Third Movement (Tchaikovsky)
4 Pound Cake (L.Young)
5 My Melancholy Baby(E.Burnett)
6 Background Music (W.Marsh)
7 Preservasion (T.Brown)
8 Body And Soul (J.Green)
9 Lennie's (L.Konitz)

テッド・ブラウン(ts)の年齢を見て驚いてしまいました。
1927年12月生まれとあるので現在89歳、今作の録音時には85歳でした。
「え~、嘘でしょう」
余りに元気なので信じられません。

テッド・ブラウンはレニー・トリスターノ門下生です。
リー・コニッツやワーン・マーシュの後ろに隠れていてまったく目立っていません。
1950年代に1枚のリーダー作を残しただけで表舞台から消えてしまいました。
それが2000年代になってヨーロッパのクリス・クロスやスティープル・チェース・レーベルから突然の復活です。
半世紀ぶりに70歳を過ぎてからの再登場ですね。
何年前だったか?・・・CDショップでテッド・ブラウンの名前を見た時に驚いたのを思い出します。
「まだ演ってたんだ・・・」ってね。

相手役のブラッド・リンデ(ts)は初見ですがテッドと互角に渡り合っています。
聴きどころは二人のテナー奏者の競演にあります。
トリスターノ派独特のかすれたような、くぐもったようなサックスの音色も楽しむことが出来ます。
今作の狙いはハッキリしています・・・名盤「コニッツ&マーシュ」のリメイク版です。
敬意を表してコニッツとマーシュの曲も取り上げていますね。

さて今作は掘り出し物の一枚です。
知的でクール・・・トリスターノ派そのものの音楽が詰まっていました。
ここにギター奏者が一枚加わったのが大きいです。
マイケル・クラマー=ビリー・バウアーです。
今になっても色褪せないサウンドはトリスターノの先進性と偉大さを物語っています。
以後の多くのジャズ・メンに与えた影響は図り知れません。
素晴らしい一枚だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



* TED BROWN QUARTET / LIVE AT TRUMPETS

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ted brown(ts),
jon easton(p), don messina(b), bill chattin(ds)
2016(2006&2010Rec)/Cadence Jazz Records/

1 Somebody Loves Me
2 Relaxin' At Camarillo
3 Love Me Or Leave Me
4 Sweet And Lovely
5 Broadway
6 When You're Smiloing
7 The Best Thing For You Would Be Me
8 Pennies From Heaven
9 Anthropology

テッド・ブラウン(ts)の名前を見たので手が伸びました。
近年気になるテナー奏者の一人になりました。
ご存知レニー・トリスターノ派のテナー奏者です。
テッドは2000年代になってカムバックしてきましたが未だに色褪せない音色とスタイルを持っていました。
何しろ一回聴いたら忘れないほどの個性があります。
超クールでかすれたような、くぐもった音色はワン・パターンではあるけれど独特の味わいがあります。
熱情をグッと押し込めてどこまでもクールな演奏を聴いているとかえってこちらの心が熱くなってきます。
「いつでも冷静過ぎるぜ・・・もっとバンバン吹いたらどうだ」ってイライラさせられてしまうから。
それがトリスターノ・サウンドの最大の魅力でもあるけれど・・・。

今作は2006年と2010年のライブ音源をカップリングしたものです。
2006年は79歳、2010年は83歳時の録音です。
ジャケットの写真を見ると椅子に腰かけて演奏していますね。
年齢的には当然だと思います。
でも年齢による衰えはほとんど感じさせないのは見事だと思います。
全9曲はよく知られたスタンダード作品集です。
チャーリー・パーカー(as)の難曲、(2)「Relaxin' At Camarillo」や(9)「Anthropology」も軽くこなしています。

バックの3人は中央ではほとんど無名のローカル・ミュージシャンだと思います。
でも雰囲気は抜群でつくづくアメリカの層の厚さには驚かされます。
特にベーシスト、Don Messinaの存在感が光っていて安定感のあるベース・ラインが素晴らしいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



*TED BROWN QUARTET / PRESERVATION

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ted brown(ts)
harold danko(p), dennis irwin(b), jeff hirshfield(ds)
2003/STEEPLECHASE/

1 Three Little Words
2 Yesterdays
3 The Man I Love
4 Preservation
5 Lover Man
6 Broadway
7 Willow Weep For Me
8 Somebody Loves Me
9 Little Quail

テッド・ブラウン(ts)の懐かしい名前を見つけたので即購入を決めました。
彼はレニー・トリスターノ(p)の門下生で、リー・コニッツ(as)やウォーン・マーシュ(ts)の一派です。
トリスターノ派の演奏は今聴いてもクールでユニーク、オリジナリティがあります。
曲の展開にも意外性があるので面白いです。
ちょっとくぐもった音色ですが聴くたびに良くなってきました。
共演のハロルド・ダンコ(p)も絶妙な人選だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

Takao Ogawa 小川高生 (as) [T (sax)]

*KAZUNORI SAWADA & TAKAO OGAWA with UNNO TRIO / COOL BLUES

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澤田一範(as), 小川高生(as)
海野雅威(p), 吉田豊(b), 海野俊輔(ds)
2005/WHAT'S NEW RECORDS/

1 Minor Move
2 Time To Smile
3 They Say It's Wonderful
4 Kiss Me Again
5 Simply Strides
6 Up With The Lark
7 Repitation
8 My Old Flame
9 Cool Blues
10 I Should Care
11 Time To Smile

4月22日発売の出たてのホヤホヤのアルバムです。
チャーリー・パーカー(as)没後50年ということで、パーカーを敬愛する澤田一範さんと小川高生さんの共演です。
バックを勤めるのが今話題の海野雅威・トリオなので即座に購入を決めました。
それこそグット・タイミングの企画で、ビ・パップ精神を踏襲した美しいアルト・サックスのプレイが楽しめます。
解説で語る二人のチャーリー・パーカーに対する思い入れは興味深く読みました。
澤田さんの”Bird 50 !"(チャーリー・パーカー没後50年の夕べ)におけるウィズ・ストリングスの評判は聞いていました。
ツウ・ホーンの(1)、(2)、(5)、(7)、(9)、ワン・ホーンの(3)、(4)、(8)、(10)、ピアノ・トリオの(6)など、
変化に富んでいて聴きどころも多いです。
「温故知新」で新鮮な感じがしました、今年の注目すべき一枚になることは間違いありません。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)



*TAKAO OGAWA & KEIICHI YOSHIDA / INTO SOMEWHERE

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小川高生(as,ss), 吉田桂一(p)
2002/What's New Records/

先日、ジャズ仲間のGさんが主催した「新アンプ試聴会」に持参したアルバムです。
小川高生(as)さんと吉田桂一(p)さんのデュオはじっくりと聴くには最適だと思いました。
まるでライブ会場にいるような感じで、すぐそこで演奏しているように聴こえます。
参加したみなさんの評判も上々でした。
最近私はデュオ作品を聴くことが多くなっていますがプレイヤー同士の濃密なコラボレーションが魅力です。
小川さんの卓越した表現力と吉田さんの絶妙なピアノ・タッチが織りなす今作もまた素晴らしい一枚です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

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