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Joris Roelofs (as) [J (sax)]

*JORIS ROELOFS QUARTET / INTRODUCING

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joris roelofs(as,cl),
aaron goldberg(p), matt penman(b), ari hoenig(ds)
2008/MATERIAL RECORDS/

ヨリス・ルーロスは弱冠24歳のアルト・サックス奏者です。
まずはCDから流れてくる美しいアルトの音色に驚いてしまいました。
このスムーズさは完璧なフィンガリングと息使いのたまものだと思います。
末恐ろしいというか、多いに楽しみなサックス奏者が登場してきました。
ここはまたメンバーも素晴らしいです。
アーロン・ゴールドバーグ(p)、マット・ペンマン(b)、アリ・ホーニック(ds)とくれば見逃せません。
スタンダード4曲、オリジナル4曲、ワーン・マーシュ(as)とデイブ・ホランド(b)が1曲づつ入っています。
チャーリー・パーカーの影響下はもちろんのこと、マーシュの曲が一つのヒントを与えてくれています。
私はオリジナルに興味を持ちましたが他の曲もアレンジが新鮮なので聴きどころも多いです。
テンポやリズム・パターンが多様、バックの3人も生き生きと躍動していて特にアリ・ホーニックが凄い。
スタンダードなら(2)「SWEET&LOVELY」、オリジナルなら(6)「THE RULES」や(9)「BETER !」も面白かった。
ドラムとのデュオ(7)「FOUR WINDS」、ベースとのデュオの(10)「SKYLARK」もスリル満点、
(2)「DOOIE HOEK」や(8)「FRANCISCA」のクラリネットも聴きものです。
ヨリスは現代的な感覚を持っているようで曲想も変化に富んでいて飽きさせません。
このデビュー作があまりにいいのでこれからが心配になるほどです。

余談ですが「イントロデューシング・~」というアルバムは外れが少ないような気がします。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

Jon Irabagon (sax) [J (sax)]

*JON IRABAGON QUARTET & QUINTET/ THE OBSERVER

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jon irabagon(as,ts), nicholas payton(tp)(2,8)
kenny barron(p), bertha hope(p)(9), rufus reid(b), victor lewis(ds)
2009/Concord/

ジョン・イラバゴン(sax)は初見、クラリネット奏者でもあるようです。
このメジャー・レーベルのデビュー作は相当気合が入っていると思われます。
それはケニー・バロン(p)、ルーファス・リード(b)、ヴィクター・ルイス(ds)の起用からもうかがえます。
2曲にはニコラス・ペイトン(tp)が参加しています。
オリジナル7曲、その他3曲の構成、ジジ・グライス(as)やトム・マッキントッシュ(tb)の曲は珍しいです。
比較的地味なプレイヤーの作品をとりあげているので選曲からも人柄を表しているような気がします。
さらにエルモ・ホープ(p)の曲(9)「BARFLY」ではホープの奥さんのバーサが参加しているのも貴重です。
やや大人しめですが多彩な奏法を聴かせてくれてストレートなジャズ・アルバムに仕上がっています。
もう少し迫力が欲しい気がしますが長く愛聴できる通好みのアルバムといえるかもしれません。
私はグライスの(3)「THE INFANT'S SONG」のバラードの表現力に注目しました。
安定感のあるサックス・ワン・ホーン・作品は安心してお勧めできます。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

Johnny Hodges (as) [J (sax)]

*JOHNNY HODGES SEPTET / BLUES A-PLENTY

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johnny hodges(as),
ben webster(ts), roy eldrige(tp), vic dickenson(tb),
billy strayhorn(p), jimmy woods(b), sam woodyard(ds)
2010(1958REc)/Verve /

1 Didn't Know About You
2 Cool Your Motor
3 Gone With The Wind
4 Honey Hill
5 Blues-A-Plenty
6 Don't Take Your Love From Me
7 Saturday Afternoon Blues
8 Satin Doll
9 Reeling And Rocking

ジャズ再発廉価版シリーズの1枚です。
ジョニー・ホッジスはいわずと知れたデューク・エリントン楽団の至宝で名アルト奏者。
何とも言えないその魅力的な音色はホッジス独自のもので孤高のプレイヤーの一人です。
ポール・デスモンド(as)は明らかにホッジスの影響を受けて独特のスタイルを作りました。

今作はホッジスのオリジナル5曲とその他4曲の構成です。
特にワン・ホーンで演奏されるバラードは圧巻です。
(1)「DIDN'T KNOW ABOUT YOU」、(3)「GONE WITH THE WIND」、(6)「DON'T TAKE YOUR LOVE FROM ME」、(8)「SATIN DOLL」は絶品。
やさしくささやくように唄う・・・自在かつ微妙に楽器をコントロールしています。
もうイチコロという感じ・・・一発でその音色に魅了されるのは確実です。
ビリー・ストレイホーン(p)のシングル・トーンのバッキングも素晴らしい。

ここでも多くのエリントニアンが共演しています。
ベン・ウェブスター(ts)、ロイ・エルドリッジ(tp)、ヴィック・ディッケンソン(tb)、特にビリー・ストレイホーン(p)の参加が貴重かな。
エリントン・サウンドの小型版・・・絶妙なスイング感と抜群のハーモニーを聴かせてくれました。
彼らの共演を得てホッジスはリラックスした手慣れた演奏を繰り広げています。
一番の長丁場の(9)「REELING AND ROCKING」も聴きどころになります。
ジャケットはやや甘い感じですが中味にはジャズのエッセンスが詰まっていました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

Johnny Griffin (ts) [J (sax)]

*JOHNNY GRIFFIN
/ JOHNNY GRIFFIN & STEVE GROSSMAN QUINTET

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johnny griffin(ts), steve grossman(ts)
michael weiss(p), pierre michelot(b), alvin queen(ds)
2001/DREYFUS/

最近、私の掲示板で話題になったジョニー・グリフィン(ts)とスティーブ・グロスマン(ts)の作品です。
スタンダードが2曲とオリジナルが7曲の構成です。
それぞれの持ち味が違うので面白い企画だと思いました。
出来ればスタンダードで真っ向勝負をしてその違いを際立たせてほしかったと思います。
しかし、グリフィンの年齢を考えるとそれもやむを得なかったのかも知れません。
全体的にはグロスマンが先輩のグリフィンに気を使ったというところでしょうか。
という訳で、私は「NICA'S TEMPO」と「THIS TIME THE DREAM'S ON ME」の2曲が良かったです。

(まじめ系)



*JOHNNY GRIFFIN QUINTET / AND THE GREAT DANES

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johnny griffin(ts), jesper thilo(ts),
thomas clausen(p), mads vinding(b), alex riel(ds)
1996/STUNT/



* JOHNNY GRIFFIN & ART TAYLOR QUARTET / IN COPENHAGEN

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johnny griffon(ts,vo),
kenny drew(p), niels-henning orsted pedersen(b), art taylor(ds)
1964Rec/Storyville/

1 What Is This Thing Called Love ?
2 Body And Soul
3 Wee Dot
4 Doctor's Blues
5 Exactly Like You
6 A Night In Tunisia

リトル・ジャイアンツことジョニー・グリフィン(ts)とバップ・ドラマーの雄アート・テイラーの双頭カルテットの作品です。
メンバーがケニー・ドリュー(p)とオルステッド・ペデルセン(b)というのも凄い。

グリフィンは苦手なタイプのテナー奏者です。
パワフルにグイグイと迫ってくる・・・情緒に欠け艶っぽくないというのがその理由。
濃いテナーなので聴いていて疲れてしまいます。
唯一の例外はウェス・モンゴメリー(g)の「フル・ハウス」だけです。

観客と一体になった熱く燃え上がるライブ・ハウスは興奮のるつぼと化す。
1964年、まだ熱かった時代のジャスの雰囲気が味わえました。
(1)と(4)は17分、19分超の長丁場、圧巻は(3)のテナーとドラムとのデュオです。
ベストには(5)「Exactly Like You」を上げておきます。
やはりテイラーのドラミングは面白いと思います。

(中間系)

John Tchicai (as) [J (sax)]

*JOHN TCHICAI QUARTET / IN MONK'S MOOD

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john tchicai(as),
george colligan(p,org), steve laspina(b), billy drummond(ds)
2009/SteepleChase/

このアルバムを見た時、ジョン・チカイ・・「いぇー、珍しい、まだ元気だったんだ。」と思いました。
「なんか、モンクある?」・・・ジャケット写真も硬派そのもののゴツイいい顔してますね。
60年代、ジョン・チカイは筋金入りのフリー・ジャズ・アルト・サックス・プレイヤーでした。
盟友ラズウェル・ラッド(tb)とのニューヨーク・アート・カルテットが最も知られているか、
フリー・ジャズ・ファンならアーチー・シェップ(ts)の「フォー・フォア・トレーン」と、
ジョン・コルトレーン(ts)の「アセンション」は必聴盤だと思います。
私は元々フリー系は得手じゃないのでその後はまったく名前を見ることもなかったです。
チカイはデンマーク出身なのでヨーロッパを中心に活動していたんでしょうね。
それが突然目の前に現れて「モンクス・ムード」とは・・・即、飛びついてしまいましたよ。

やっぱり一味も二味も違いました・・・ムードあります。
濃く、おどろおどろしたところもあるし、淡く、爽やかなところもあるし、実に味わい深いです。
表題曲の「MONK'S MOOD」は(1)と(10)の2テイクが収録されています。
(5)「ROUND ABOUT MIDNIGHT」にはオルガンを使ってきましたがこの表現力が凄い。
スタンダードの(7)「EASY STREET」はノスタルジックですごく新鮮でした。
(8)「RUBY MY DEAR」は涙が出そうになったし、そのほかも聴きどころがいっぱいです。
一般的にフリー系のアルト奏者は音に力があって、澄んだキレイな音色を持っています。
素晴らしいセロニアス・モンク作品集・・・みなさんも是非この演奏を味わってみて下さい。
食べず嫌いはいけません。
チカイの断トツの存在感に共演者も霞んでしまいました。
軽くいなされて揉まれたジョージ・コリガン(p,org)にとってもいい経験だったと思います。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)



* JOHN TCHICAI TRIO / REAL TCHICAI

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john tchicai(as), pierre dorge(g), niels-henning orsted pedersen(b)
1977Rec/SteepleChase/

1 Graceful Visitor.
2 Silent Danish Girl
3 Moksha Point
4 Monk's Mood
5 Bambla Jolifanti
6 One Way Ticket
7 Mirjam's Dadadance
8 Blue Barrier
9 Nothing Doing In Krakow
10 On Tuesday
11 Oles Anders
12 Sailing To The Good Land

ジョン・チカイ(as)もまたフリー・ジャズ・シーンでは忘れてはならないプレイヤーです。
デンマーク生まれですがニューヨークに進出して活躍しました。
アーチー・シェップ(ts)、ドン・チェリー(tp)との「ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ」に参加、
後にラズウェル・ラッド(tb)との「ニューヨーク・アート・カルテット」を結成しています。
ジョン・コルトレーン(ts)とも共演していて、つまり筋金入りのフリー・アルト・サックス奏者です。

全12曲は自身のオリジナルが9曲、共演のピエール・ドージ(g)が2曲、セロニアス・モンク(p)が1曲の構成です。
なお(10)、(11)、(12)の3曲はCD化により追加されたものです。
1曲づつが短いのでフリー・ジャズとしてはとても聴き易い仕上がりになっています。
曲想も豊かなのでちょっとフリーを聴いてみたいという人には最適じゃないかな。
チカイのフリー・ジャズを聴いていると一編の詩を聞いているような気がします。
自在な展開はまさに楽器を通して肉声で語り歌っている。
アルト・サックスの音の美しさは格別です。

ジョン・チカイは2012年に76歳で亡くなりました。

(まじめ系)

John Handy (as) [J (sax)]

*JOHN HANDY / NEW VIEW !

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john handy(as), bobby hutcherson(vib)
pat martino(g), albert stinson(b), doug sides(ds)
1967Rec/KOCH/

新宿ジャズ・レコード店訪問時に入手した一枚。
1967年、ヴィレッジ・ゲートでのライヴのコンプリート盤です。
1曲目はコルトレーンの名曲「ネイマ」、2曲目のボサノバだってちょろいもの、
3曲目は30分を超えるジョン得意の長丁場で、聴く方も大変です。
ジョン・ハンディはさすがに凄いよ。これくらいは簡単に演奏してしまいます。
今、どうしているのかなあ、誰か教えて下さい。
共演はボビー・ハッチャーソン(vib)と、それに最近カムバックして話題になっている
パット・マルティーノ(g)で実に貴重盤です。
新宿へ行くとこういうものが、いとも簡単に入手出来てしまうのです。
やっぱりまた行こうかな。

(中間系)



* JOHN HANDY QUINTET / LIVE AT THE MONTEREY JAZZ FESTIVAL

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john handy(as), jerry hahn(g),
mike white(vln), don thompson(b), terry clarke(ds)
1965Rec/CBS/

1 If Only We Knew
2 Spanish Lady

先週に引き続きパワフル&エネルギッシュなノン・ストップ・パフォーマンスを1枚上げたいと思います。
ジョン・ハンディ(as)もまたエリック・ドルフィ(as)同様にチャールス・ミンガス(b)・バンドの出身です。
ミンガス・バンド出身者には個性的なミュージシャンが多いけどハンディもその中の一人です。

今作は名実共にジョン・ハンディの代表作になっています。
「この人のこの1枚とか」、「この人のこの1曲とか」の話題になれば必ず出てくるアルバムです。
ハンディとジェリー・ハン(g)、マイク・ホワイト(vln)、ドン・トンプソン(b)、テリー・クラーク(ds)がメンバー。
才人の集まりだったですが特にギターとバイオリンの組み合わせでぶっ飛ばすところが超個性的でした。
この組み合わせは古くはジャンゴ・ラインハルト(g)とステファン・グラッペリ(vln)があるのでそれがルーツかな。
収録曲はたったの2曲でLPではA面B面で1曲づつでした。
なんといってもB面の「Spanish Lady」が素晴らしかった。
演奏の盛り上がりに大興奮・・・若い頃にはそれこそB面が擦り切れるほど聴きました。

ところで今作ではCD化のマイナス面を強く感じました。
ライブの臨場感がまったくなくなっていました。
何度もCD化されるたびに音が削られて空虚な音しか聴けなくなっている。
まさに「安かろう悪かろう」の典型、これでは初めて聴く若い人達があまりにも気の毒だよ。
私にしてもいくら「演奏が聴ければいい」といってもとてもついていけない。
中古市場でのLP人気やLPの復活の理由がよく分かります。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

John Ellis (ts) [J (sax)]

*JOHN ELLIS QUINTET / IT'S YOU I LIKE

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john ellis(ts), mike moreno(g),
aaron goldberg(p), matt penman(b), rodney green(ds)
2012/Criss Cross /

1 What Do You Do ?
2 Memory Lane
3 It's You I Like
4 Everything Means Nothing To Me
5 Let's Think Of Something To Do
6 Because We're Kids
7 You Are Special
8 Waltz # 1
9 It's Such A Good Feeling
10 Won't You Be My Neighbor

ジョン・エリス(ts)の名前を見るのは2回目になります。
前回はロバート・グラスパー(p)のアルバムだったけどノーマークでした。
ここではマイク・モレノ(g)、アーロン・ゴールドバーグ(p)、マット・ペンマン(b)、
ロドニー・グリーン(ds)といった最先端のジャズ・メンがバックに名前を連ねています。

聴いてみると中々に面白くてトツトツとしてクールなサックス奏法はどこか懐かしい思いがしました。
なぜだろうね?
選曲がフレッド・ロジャースとエリオット・スミスといった唄ものにその理由があるかもしれません。
浮揚感のあるバッキングに乗って丁寧に唄うように吹く・・・現代版唄もの奏法の代表作と言えます。
スマートなんだけどゴリゴリなところはデクスター・ゴードン(ts)の影を見ました。
なんか気になる・・・印象的・・・ユニークな演奏スタイルの持ち主です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

John Coltrane (ts) [J (sax)]

*JOHN COLTRANE QUARTET / SELFLESSNESS

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john coltrane(ts,ss),
mccoy tyner(p), jimmy garrison(b), elvin jones(ds)
pharoah sanders(ts), etc
1963-65Rec/Impuls/

1963年の「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」のライブ録音と
1965年のファラオ・サンダース入りの2セットが収録されています。
やはり愛奏曲の(1)「My Favorite Things」が聴きどころになります。



*JOHN COLTRANE AND JOHNNY HARTMAN

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john coltrane(ts), johnny hartman(vo),
mccoy tyner(p), jimmy garrison(b), elvin jones(ds)  
1963Rec/IMPULSE/

ジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマンのこれは好きな方も多いと思います。
トレーンの異色の名盤といえば、やはりこのアルバムでしょうね。
上質のヴォーカルとバラードが聴けます。
私にとっては、時々は必ず聴きたくなる愛聴盤なのです。

「They Say It's Wonderful」、「Dedicated To You」、「My One And Only Love」、
「Lush Life」、「You Are Too Beautiful」、「Autumn Serenade」、「Vilia」

(中間系)



* JOHN COLTRANE QUARTET / COLTRANE

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john coltrane(ts,ss),
maccoy tyner(p), jimmy garrison(b), elvin jones(ds)
1962/Impulse/

Side A
1 Out Of This World
2 Soul Eyes
Side B
1 The Inch Worm
2 Tunji
3 Miles' Mode

ジョン・コルトレーン(ts,ss)の今作も思い出深いレコードの一枚です。
なぜならここから名実共に黄金のコルトレーン・カルテットがスタートしたからです。
「COLTRANE」という表題は57年のリーダー・デビュー作にもあって今作が2回目になります。
つまりコルトレーン自身にとっても自己の覚醒を自覚したという思いがあったのではないか。
ちなみに私は作品を選ぶにあたって自身の名前を冠したアルバムはほぼ間違いないと思っています。
新生「Impulse」レーベルが精魂込めた作品でダブル・ジャケットの重厚で豪華な仕上がりになっています。
コルトレーンにはこれ以前の「Atlantic」盤にも2枚の重要作品があります。
1枚が全曲オリジナルで通した「ジャイアント・ステップス」(1959)でまさにジャズ巨人の第一歩を記録しています。
もう1枚が世界に衝撃を与えたソプラノ・サックス・ジャズの金字塔「マイ・フェヴァリット・シングス」(1960)です。

さてコルトレーン・カルテットの完成までにどのような道のりがあったのだろうか。
ピアノではレッド・ガーランド、マル・ウォルドロン、トミー・フラナガン、ウィントン・ケリー、ハンク・ジョーンズ、セシル・テイラーなどと共演しています。
最終的に60年になってマッコイ・タイナーがその位置を占めました。
次にドラムですがアート・テイラー、ジミー・コブ、アル・ヒース、フィリー・ジョー・ジョーンズ、エド・シグペン、ルイス・ヘイスなどと共演しています。
最終的に60年になってエルヴィン・ジョーンズがその席を占めてピアノとドラムスが決定しました。
最後まで決まらなかったのがベーシストでポール・チェンバース、ダグ・ワトキンス、スティーブ・デイビス、アート・デイビス、レジー・ワークマン、チャーリー・ヘイデンなどと共演しています。
一時期コルトレーンは2ベース・スタイルなども模索していたようで迷いがあったのかも知れませんね。
その頃私はワークマンが一番有力じゃないかと思っていました。
62年になって最後のジミー・ギャリソンが決定してついにジョン・コルトレーン・カルテットが完成しました。

さて今作がその黄金のコルトレーン・カルテットによる記念すべき第一作になりました。
全5曲は自身のオリジナル2曲とその他3曲の構成です。
1曲目の「Out Of This World」はハロルド・アーレン/ジョニー・マーサーに手になるものです。
15分近い長丁場ですがここにコルトレーン・カルテットの原点があります。
今聴いても十分に感動的で強力無比なコルトレーン・サウンドそのものを聴かせてくれています。
お得意のソプラノ・サックスはフランク・ルーサーの曲「The Inch Worm」で聴けました。
「Soul Eyes」はマル・ウォルドロンの曲、自作の「Miles' Mode」でマイルス・デイビスの名前を配しています。
コルトレーンには何かを伝えたい思いがあったんじゃないかな。
チャーリー・パーカー(as)~マイルス・デイヴィス(tp)~ジョン・コルトレーン(ts)の系譜は受け継がれていく。

(まじめ系)



*DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE

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duke ellington(p), john coltrane(ts,ss),
aaron bell(b), jimmy garrison(b), elvin Jones(ds), sam woodyard(ds)
1962Rec/Impulse/

デューク・エリントンとジョン・コルトレーンの二大巨匠の組み合わせ。
考えることは出来ても実現は難しそうな企画です。
でもそれが実現しました。
異色かつ貴重なアルバムです。

「In A Sentimental Mood」



*JOHN COLTRANE QUARTET & QUINTET & SEXTET / COLTRANE

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john coltrane(ts), johnnie splawn(tp)(1,4,5,6), sahib shihab(bs)(1,4,6),
red garland(p)(1,2,3), mal waldron(p)(4,5,6), paul chambers(b), al heath(ds)
1957Rec/Prestige/

1 Bakai
2 Violets For Your Furs
3 Time Was
4 Straight Street
5 While My Lady Sleeps
6 Chronic Blues

ジョン・コントレーン(ts)の初リーダー・アルバムです。
コルトレーンがあれほどの人気にならなければそれほど話題にもならなかったと思います。
コルトレーンに注目してファンになりハマった時、以前はどんな演奏をしていたのか?と興味を持つ。
さかのぼって聴いてみようかと思った時に出会うアルバムでした。
ここでの聴きどころは(2)「Violets For Your Furs」(邦題:コートにすみれを)だと思います。
後年に代表作の一枚になった「バラード」の萌芽がここにありました。


*JOHN COLTRANE SEXTET / DAKAR

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john coltrane(ts), cecil payne(bs), pepper adams(bs),
mal waldron(p), doug watkins(b), arthur taylor(ds)
1957Rec/Prestige/

1 Dakar
2 Mary's Blues
3 Route 4
4 Velvet Scene
5 Witches Pit
6 Cat Walk

↑の初リーダー・アルバムから20日後に吹き込まれた2枚目のリーダー作品です。
バリトン2本にテナー1本のユニークな組み合わせを誰が考えたと思いますか?
もちろんコルトレーンではありません。
なんとヴァイブ奏者のテディ・チャールスなんですよ。
今作品のプロデュースをしていて3曲を提供しています。
実験的な作風のお蔭でコルトレーンの作品の中で最も異色的なアルバムになりました。
今回改めて聴いてみたけどこれがけっこう面白かったです。
だってこんなに重々しい組み合わせはめったにないからね。
マル作のバラードの(4)「Velvet Scene」が聴きどころになりました。



ライバル談義

当時、最も先鋭で注目されていたテナー奏者は言わずと知れたソニー・ロリンズです。
1956~57年はそれこそ怒涛の進撃を続けていました。
56年には超名盤の「サキソフォン・コロッサス」、57年には「ウエイ・アウト・ウエスト」、「ヴィレッジ・バンガード」を吹き込んでいます。
コルトレーンと言えばまだ普通のテナー・マンでライバルのラの字もなかった頃ですね。
ところがたった1年ほどの間にコルトレーンはセロニアス・モンク(p)の影響で長足の進歩を遂げます。
57年「ブルー・トレイン」、58年「ソウル・トレーン」、59年「ジャイアント・ステップス」と続く驚異的な成長です。
反面ロリンズは59年秋に突然ジャズ界から姿を消してしまいます。
復活したのは2年後の61年秋でその最初のアルバムが「橋」、2枚目が「ファッツ・ニュー」でボサノバやカリプソの新風を吹き込んだ。


マイルス・デイビス(tp)が1955年に新しいコンボを作る時ソニー・ロリンズに声をかけましたが断られ、 当時ディジー・ガレスピー楽団でくすぶっていたジョン・コルトレーンが参加することになりました。
この選択は結果的に正解だったと思います。
マイルスとロリンズでは、とても長続きしたとは思いません。
その時、ロリンズは、どこに行ったかといいますと、これがなんとクリフォード・ブラウン(tp)とマックス・ローチ(ds)のコンボ、さぞかしマイルスは、頭にきたと思いますよ。

ジャズ・マンが普通から超一流プレイヤーに変身して行くのを、コルトレーンほどハッキリと私の目の前に見せてくれた人はいません。
マイルス・デイビスが彼を見抜いた理由は、何だったんでしょうね。
マイルスから独立して自己のグループを結成し、好アルバムを連発、最後は、神懸り的になって、さすがのマッコイ・タイナー(p)やエルビン・ジョーンズ(ds)も退団してしまいましたが、私は幸運にも彼の東京公演を見ることが出来ました。
若いファラオ・サンダース(ts)やラシッド・アリ(ds)と猛烈なプレイを繰り広げてくれました。
私の見たライブでは、最高のものだと言えます。
彼より若いテナーマンは、そのほとんどが彼の影響を受けていると言っても 差し支えないでしょう。

オーネット・コールマン(as)を聞いて、いきなり理解出来る人は少ないですよね。
そんな場合はジョン・コルトレーンの足跡をたどるのが、一番分かり易いと思いますよ。
その後にオーネットを聞くと、見えなかったものが見えてくるという訳です。

つまりコルトレーンもまた、モダンジャズの歴史そのものなのです。

Joh Yamada 山田穣 (as) [J (sax)]

*JOH YAMADA / IN THE PLEASANT SHADE

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山田穣(as)
cyrus chesnut(p), george mraz(b), billy drummond(ds)
1998/Alfa Music/

1 Carving The World
2 Tater Tot
3 The Very Thought Of You
4 Rhythm-A-Ning
5 There Lights With Beautiful Wisdom
6 In Your Own Sweet Way
7 I See Your Face Before Me
8 A Little Prayer
9 Relaxin' At Camarillo
10 Stars Fell On Alabama

山田穣のニューヨーク録音盤です。さすがに日本の代表的なアルト・サックス奏者ですね。
バックの3人もこれには真剣にならざるを得なかったのではないかな。
サイラスは押さえたプレイで好演、いつになく多弁なビリーのドラムにも注目しました。
山田穣の華麗なアルト・プレイを堪能するには絶好のアルバムです。
アルファ・ミュージックはもうないので今が買い時、在庫がなくなれば入手は困難ですよ。

(中間系)



*JOH YAMADA QUARTET / BLUE STONE

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山田穣(as)
cyrus chesnut(p), rodney whittaker(b), clarence penn(ds)
1997/Alfa Music/

1 First Step
2 Bluestone
3 Rue De La Harpe
4 Smokin' Joh
5 Never Let Me Go
6 The Sacred Eyes
7 I've Never Been In Love Before
8 Ghost Of A Chance

山田穣さんのデビュー作品です。

第2回「ハイネケン・ジャズ・コンペティション」でのグランプリ受賞、96年度SJ誌日本ジャズメン人気投票第2位と、今やジャズシーンで注目のアルト・サックス奏者、山田穣。
待望のデビュー作は、書き下ろしのオリジナル3曲を含むワン・ホーン・アルバム。
ピアノに今や絶好調のサイラス・チェスナットとNY最強のリズム・セクションを起用、録音はNo.1エンジニアのジム・アンダーソン。NY録音。
(帯中よりの抜粋)

Joel Frahm (ts) [J (sax)]

* JOEL FRAHM QUARTET / CAMINHOS CRUZADOS

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joel frahm(ts),
cyrus chestnut(p), dezron douglas(b), duduka da fonseca(ds)
2010/Venus/

1 Bons Amigos
2 Caminhos Cruzados
3 Carinhoso
4 Delilah
5 Early Autumn
6 O Cantador
7 Flowers On The Terrace
8 Sunshower
9 Smoke Gets In Your Eyes
10 Flying Over Rio
11 Tereza My Love
12 Waiting For Angela

私がジョエル・フラーム(ts)を買うのは2枚目になります。
なぜか前回はまったく印象に残っていません。

*JOEL FRAHM QUARTET / THE NAVIGATOR (2000/Palmetto)
joel frahm(ts), david berkman(p), scott colly(b), billy drummond(ds)

全12曲はメンバーのオリジナル2曲とラテンとスタンダード10曲の構成です。
帯中には「スタン・ゲッツの再来」とありましたが、これはちょっと違うかな。
フラームはゲッツのクールさや柔らかさや気だるさに欠けています。
でもそういうことを気にせずに聴けば案外に面白いと思いました。
もっとずっとストレートな感覚で、端正でよどみなく、歌うように吹いています。
特に高音部がいい、サックスの音色に伸びやかな美しさと爽やかさがあります。
それこそテナー・サックス奏法のお手本になるような語り口が最大の魅力です。
ちなみにジャケットに違和感を感じるのは私だけかな。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



*JOEL FRAHM QUARTET / THE NAVIGATOR

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joel frahm(ts), david berkman(p), scott colly(b), billy drummond(ds)
2000/Palmetto/

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